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予告編からの印象で、オーナーと喧嘩してレストランを辞めた女シェフが再就職をしようとしたが、思うようにいかない、という話を想像していた。流れ着いた場所が移民の少年たちを受け入れる自立支援施設で、彼女は成り行きから、彼らに料理を教えるハメになってしまう、と。チラシのコピーにも、ドラマチック.キッチン.コメディと書いてある。だが、予想と全然違う映画だった。
作品の舞台となっているのがフランスのどこなのかわからないが、都会でないところがいい。道路に車を止めて電話している女シェフの背景は海で、風力発電の巨大な風車が回っている。淡路島の風景に似ていると思った。年代物だと思われる(古くて汚い)建物の中で、話が進行する。エレベーターがないので大荷物を抱えて階段を登って、案内された部屋もやっぱり古い。午後十時には消灯で強制的に電源を落とされる。不衛生なキッチンを掃除したり、景色の悪い畑の中で芋掘りをする姿もお洒落でなくて逆にいい。若くて綺麗な女性はいっさい登場しないが、男子寮なんてのは、そんなもので、現実味があった。
フランス料理は盛りつけの美しさがひとつの魅力になっていると思うのだが、背景がそれなりに見栄えしないと(室内着の野郎ばかりでむさ苦しいし)あまり旨そうに見えませんな。作者にも料理を綺麗に撮ろうという意図はあまりなさそうで、描きたいのは違う方向にあるようです。
単純なコメディではなく、ある意味社会派ドラマになっていて、映画を気楽に楽しもうと思って行くと困惑するかもしれません。
私には久しぶりのフランス映画でした。
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