電話消失事件
2023-05-02


本町で電車を降りた時、携帯電話を持っていないことに気がついた。上着とシャツのポケット、ズボンのポケットを探ってみたが、ない。カバンの中にもない。やってしまったか。振り向いても電車は行ってしまった後で、ホーム柵は閉じ、改札口へと急ぐ人々がこっちに向かって流れてくるだけであった。
もう仕方がない。このまま行くしかない。階段を上がって乗り換えるため中央線のホームに向かって歩き、コスモスクエア行きに乗って目的地の駅で降りた。改札口で駅員に車内に忘れ物をした事を言うとすぐに連絡を入れようとしてくれたのだが、違うんです、今の電車ではないのですよ。乗り継いできた御堂筋線の車両の中なんです。取り上げた受話器を置いた駅員さんは、私に忘れ物センターへの案内書面をくれた。
終点での点検で回収された遺失物は集約されたのち、センターに届けられるそうである。さっきの電車が終点まで到達するまでには、もう少し時間がかかるはずなので、今の時点でできることは、ない。
約3時間後、仕事場の固定電話を借りた。私用なので本来ならば公衆電話を利用するべきなのだが、そこら辺を歩き回ってもどこにもないのだ。時間の無駄なのを悟った私は事務所に戻ったのだった。公衆電話がないなんて、不便な時代になったものだ。さて、列車の進行方向を考えれば、大阪メトロではなく、北大阪急行電鉄への問い合わせセンターへ電話したほうが確率が高そうである。
プッシュボタンを押して電話を開始。聞かれた事柄について。乗車した駅と下車した駅、それぞれの時間、乗った車両の位置。携帯電話の特徴(ガラケーかスマホか)、機種、ケースの色、キャリア(docomo、au、SoftBank、その他)、など。
質問への回答から、該当する電話が千里中央駅の駅長室にあるという。私が乗った電車の終点駅のようだ。
仕事を終えてから千里中央まで行こうと思うと十一時を過ぎるだろう。終電に近い時刻になるが仕方がない。行くしかない。今日の夜は大阪発の電車で郊外に出かけるつもりだったのだが、オジャンである。
黄金週間の予定が変わってしまった。電車の中に忘れ物をするなど、私としたことが不覚であった。
[日記]

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