男はつらいよ 柴又より愛をこめて(4Kデジタル修復版)
2020-10-05


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寅さん三十本目。第三十六作、昭和六十年の公開。
「夜霧にむせぶ寅次郎」からタコ社長の娘あけみ役で登場している美保純が今作の準主役であります。冒頭、結婚生活に嫌気がさしたあけみが家出をしています。失踪後、一ヶ月が経過して、心配したタコ社長がテレビのワイドショーに出演し、ブラウン管の中から涙ながらにあけみに語りかけるのでありました。伊豆の下田でその番組を見ているあけみさん、社長が哀れに思えたのか、公衆電話でとらやに「あたしゃ生きてるよ」と電話をします。電話を受けたさくらはひとまず安心と胸をなでおろすのですが、あけみは全く帰ってくる様子がない。寅さんを慕っている彼女が寅さんに話を聞いてもらいたそうな様子だったことから、寅さんが早く帰ってこないだろうかと相談しているとらやの人々なのだった。
途中は端折りますが、寅さんは難なくあけみを発見します。柴又に連れて帰るのが使命のはずなのですが、あけみは伊豆の海岸から沖に見える島に行ってみたいとわがままを言いだすのでした。
そこのところは全く否定しない寅さんは、あけみと一緒に連絡船に乗って沖の式根島に渡ります。船の中で遭遇するのは島の小学校の同窓会一同十一人の若者たちだった。船内の宴会に飛び入り参加した寅さんはすぐに親しくなり、彼らとともに島に上陸するのですが、出迎えに来た真知子先生(栗原小巻)が美人だったばかりに、すぐに夢心地。いつのまにかあけみをほったらかして、同窓会一同様の車に便乗して、行ってしまうのだった。波止場で一人取り残されたあけみは、たまたま居合わせた島の旅館の息子が運転するボロ車に乗り込んで、こちらの方もいずこかへ行ってしまう。かくて波止場は無人となる。この後、寅さんは同窓会一行様、あけみは旅館の息子と仲良く島巡りをするのであった。ふたりが当日宿泊するのは実は同じ旅館なのですが、冷たくされたあけみは寅さんのことを同じ船に乗っていたおじさんと言って無視するのであった。
独り者の寅さんと人妻のあけみでは立場が違いますが、式根島で恋物語が同時進行するのは変わりありません。旅館の息子から告白されたあけみが柴又に帰ると言いだしたとき、寅さんも島を離れなければならなくなるのでした。
唐突に東京都内の出版社が登場する。ロシア語辞典の編集部である。地味である。地味な中年男が真知子先生からの電話を受けて、いそいそと会社を後にする、、、。
東京都内の飛行場といえば羽田空港しか思い浮かびませんでしたが、ここでは調布飛行場が別れの場所として登場します。式根島への定期便があるのです。十人乗りくらいのプロペラ機に乗って真知子先生は島へ帰っていきます。日本各地のロケーションがこの映画の魅力なのですが、ここではバスの待合所みたいな空港設備が素晴らしく、これぞ「男はつらいよ」の醍醐味なのです。
[映画]
[男はつらいよ]

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